STUMPJUMPER EVO インプレッション

去年11月から約3ヶ月、ガッツリ乗り込んだ スペシャライズド STUMPJUMPER EVO  EXPERT.

主に県内中のトレイルを走りまくり、激しいロックセクションやハイスピードセクションはもちろんのこと、50〜78kmのロングライドや獲得標高1400m以上のライドも数回。その他、バイクパークでのジャンプ、時にバイクを担いで進む藪漕ぎライドなど。STUMPJUMPER EVOという最強ツールを僕なりに限界まで使い込んだので、その感想を書いていきたいと思います。

そもそもどういうライダー向き?

スペシャライズドには大きく分けて10種類のMTBがあり、そのうちトレイルライドに重きを置いているバイクはROCKHOPPER,FUSE,STUMPJUMPERの3種。

僕が思う日本でのトレイルバイクに必要な要素は2つ。

① ペダリングは軽快であること。

① ヒルクライム性能とダウンヒル性能のバランスがとれていること。

ガタガタの路面を楽に,、早く、走れるのはフルサスペンションバイクということで、このなかでは最もダウンヒルでの性能を向上させたバイクがSTUMPJUMPERになります。ですが、サスペンションが増えることで車体は重くなるとともに、多少のペダルボブ(ペダルを踏み込んだ際にサスペンションが沈み込んでしまう現象。)も起きてしまいます。

ですが、それでも良いからトレイルでダウンヒルを楽しみたい!そう感じるなら間違いなく、STUMPJUMPERです!

STUMPJUMPER EVO
STUMPJUMPER

そしてここから、STUMPJUMPER かSTUMPJUMPER EVO のどちらが自分に合っているかという問題になってきます。

僕なりに感じた結論としては、次のようなライダーにはSTUMPJUMPER EVOがベストマッチ!

① 1台でトレイル、エンデューロ、ダウンヒルを楽しみたい。

② 普段メインで走る場所は、ガレ場や根っこ、ドロップオフがあるような激しめのトレイル。

STUMPJUMPERでは、まずバイクの設計上 ダウンヒルコースを攻めるのは結構厳しく、エンデューロレースでも激しいコースレイアウトであればバイクを壊してしまうかもしれません。しかし エンデューロ寄りの設計である STUMPJUMPER EVO なら、ダウンヒルバイクほどの剛性、安定感はありませんが、フロント160mmとリア150mmのトラベル量があるので、白馬岩岳やふじてん といった国内のメジャーなダウンヒルコースはほとんど楽しめます。

もし、ダウンヒルコースに行く予定はなく、1回のライド距離が長かったり、普段走るトレイルがフローでガタガタしたところがなければ、EVOよりも軽く、軽快にアップダウンをこなせる STUMPJUMPER の方が絶対楽しいはずです。

バイクセッティング

身長170cm 体重65kgの僕は、取り回しやすさを狙ってサイズはS2に。乗り方としては、トレイルライドが軸になるので、ハンドルやサドルの位置は上りと下り両方のバランスが取れた位置にセッティング。簡単に説明すると、フロントアップしやすいギリギリの高さで、なるべく前傾のとれるようにしたという感じです。

変えたパーツはハンドルバーとステム、グリップのみ。

重量は14.4kgほど。ほぼノーマルなので、まだまだ軽量化の余地があります。

乗ってみて

ヒルクライムでは、思っていた以上に軽快なバイクだなと感じました。

しっかり踏んでもリアタイヤが滑る感じもなければ、フロントがふらつくこともない。

そしてフルサスなのに結構進む!そう、STUMPJUMPER EVOはあくまでトレイルバイク。ペダリングやブレーキング、プッシュやジャンプでのリアサスの沈み込みにより、チェーンが引っ張られる現象をキックバックと言いますが、このキックバックがかなり抑えられており非常に上りやすいです。

ダウンヒルではバイクのポテンシャルの高さがよくわかります。

トレイルにおいてのコーナリングやジャンプ、ドロップ、根っこや岩でガッタガタの路面でも剛性が足りないと感じる場面は無く、下りでのペダリングのしやすさは、登り返しのあるトレイルでは強い武器になると思いました。

もちろんエンデューロバイクほどの丈夫さはないので、バイクに任せっきりのライディングはできません。しかし、軽量なバイクだからこその取り回しの良さは言ってしまえば人馬一体。路面の情報をカラダ全体で感じながら、体重移動とブレーキング、ペダリングでのトラクションコントロール、時に前後のグリップを抜いたりと、バイクとの対話から生まれるバイクコントロールがとてもしやすいです。

サイズチャート

サイズ感は正直S3でも良かったのかなと思いました。もう少しリーチを伸ばして、安定感と長時間ライドでの前傾ポジションを取れるようにした方が僕向きだったかもしれません。

しかしコンパクトなバイクだからこその低速域での取り回す楽しさやジャンプでの自由度が広がっているとも感じます。

BENCHMARK ADJUSTABILITY

Stumpjumper EVOは、6種類のジオメトリーセッティングが可能で、ライディングスタイルやあらゆるトレイルに合ったものを選べます。ヘッドアングルは63から65.5度までSTEEP,MIDDLE,SLACKで調整でき、BBハイトは上下に7mm変更できます。

最初、ヘッドアングルは真ん中のMIDDLE、BBハイトはHIGHにしてライドしていました。正直このままで全く不満はなかったのですが、登り返しのタイミングでよく岩や木にクランクやペダルをぶつけていました。要するにサスペンションが沈んだタイミングで漕ぎ出すとペダルはかなり地面に近くなるので、BBハイトをHIGHにしてもぶつかってしまうんですね(フルサスならほとんど起きてしまう現象だと思います)。

まあ、そういうトレイルでは、装備されているリアショック FOX FLOAT X(Rx Trail Tune)についている2ポジションレバーで動きを渋くすれば 全然ぶつけずに走れましたが、普段走るトレイルは、下りと上りが交互にあるので、BBハイトはHIGHで固定し、ヘッドアングルを変えてインプレッションしてみます。

STEEPにした場合

STEEPとは急という意味。つまりヘッド角が立っているということ。MIDDLEの時と同じ、突き出し長35mmステムと同量のスペーサーでベストポジション。

劇的にハンドリングがクイックになるわけではなく、MIDDLEでの若干もっさりした感じが薄れたような印象。素直で癖のない乗り心地ですかね。突然バニーホップをしたり、バイクパークでジャンプしたり、バームToバームでプッシュプルを繰り返す場面ではSTEEPが一番楽しいかもしれません。

SLACKにした場合

SLACKにしたところ、MIDDLEで使用していたステム(35mm)をそのままつけたところ、ポジションが窮屈になってしまいました。なるべく詰めたセットアップだった為、リーチが短すぎてフロントアップはやりにくいし、前傾もとりにくい。ステム長を伸ばさないといけなくなりました。純正ステムが40mm(S2)なので、ハンドル周りを純正に戻すことも考えましたが、丁度、今つけているステムの50mmバージョンを持ち合わせていたのでそちらに変更し、スペーサーも5mm下げると、いいポジションが取れるようになりました。

乗ってみると、上りも下りも安定感が増して、岩や根っこの多いセクションや、スピードの出るフラットコーナーでは、こなしが楽になりました。最もわかりやすかったのは手放し運転(笑)。MIDDLEと比べても全然ハンドルが取られないのでロングライドでも強みになるかもですね。

SWAT™ Doorはかなり便利!

STUMPJUMPERにはSWAT™ Doorというダウンチューブ内にポンプや予備チューブなどのライド必需品を入れられる収納スペースが存在します。これがかなり便利でして、容量としては22オンス(650ml)の飲み物が入るほど。僕は予備チューブと携帯ポンプを入れています。チューブのような重いものをわざわざ背負うことなく、バイクの下の方につけられるのは、バックパックも軽くなりますし、低重心にもつながります。

マレットにもできる!

アフターマーケットの専用ショックリンクに交換すれば、リアに27.5ホイールを履かせてマレット仕様(フロント29inch、リア27.5inch)にすることができます。

僕が思うマレットにするメリットはこの4つ。

・体勢を後ろにしたとき、タイヤにおしりが当たりにくくなる。

・ホイールの合成UP

・ホイール軽量化

・フロントアップしやすい

身長の低い方やアグレッシブなライディングをするライダーにおすすめです!

最後に

ここ最近は、荷物を背負ってトレイル整備に出かけて、50km以上走る&押し上げといったライドが多かったのですが、このSTUMPJUMPER EVOの軽さと登坂性能が無ければおそらく途中で行くのをやめていたと思います。(もっと軽いバイクに乗り換えていたかも)

そのポテンシャルの高さから、クロカンライダーが大好きな登りと下りが交互にあるトレイルで、周り全員がEバイクでフツーのMTBが僕のみという状態での走行距離50km,獲得標高1,455mという体力的ハードライディングもどうにかこなせました。

また、ベテランの下り系ライダーたちと混ざりながらも、どうにか下りで離されずに走れたのも間違いなくSTUMPJUMPER EVOが助けてくれたことに間違いはありません。

つまり、日本のトレイル事情を考えれば、これさえあれば何もいらないと言わせてしまうバイク。

さまざまなライダーの要望に応えてくれる可変ジオメトリー。画期的な収納システムSWAT™ Door。長所ばかりが目につき、欠点は見つかりません。

他のブランドにないテクノロジーを盛り込んでいるのがSPECIALIZEDであり、STUMPJUMPERは僕が生まれるずっと前から、今も、トレイルバイクのベンチマークとして君臨しています。トレイルバイクを検討中の方、STUMPJUMPER EVO にしてみてはいかがでしょうか。(kohei)

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